西表島ピナイサーラの滝の行き方|2025年からはガイド同伴が必須に
ピナイサーラの滝とは?
西表島を代表する絶景スポット・ピナイサーラの滝
西表島を代表する絶景スポット「ピナイサーラの滝」は、沖縄県最大の落差(約55メートル)を誇る滝です。
その名は方言で「ピナイ(髭)」「サーラ(下がる)」を意味し、滝の流れが髭のように見えることから名付けられました。
滝壺から見上げるその迫力は圧巻で、西表島を訪れる多くの旅行者が「一度は見たい滝」として名前を挙げます。
しかし、この滝が位置するエリアは、2021年に世界自然遺産に登録された「奄美・沖縄」地域の一部であり、極めて貴重な生態系を守るための特別なルールが設けられています。
この記事では、西表島で15年以上ガイドを務め、年間200回以上ピナイサーラの滝を案内しているベテランガイドが、現地の最新ルールと行き方を詳しくご紹介します。

ピナイサーラの滝は「特定自然観光資源」に指定
2025年3月から個人での立ち入りが禁止に
2025年3月から、ピナイサーラの滝周辺は「特定自然観光資源」として正式に指定されました。
これは、自然環境の保全と観光利用の両立を目的とした制度で、個人(無許可)での立ち入りが禁止され、必ず認定ガイド同伴が義務化されます。
この制度によって、
* 過剰な入域による環境負荷の軽減
* 安全管理の徹底
* 1日200名までの入域制限による自然保全
が進められています。つまり、これからは「ピナイサーラの滝に行きたい」と思っても、ガイドツアーを通してのみ訪問が可能となりました。

ピナイサーラの滝への行き方
ピナイサーラの滝へ行く方法はいくつかのルートがあります。 代表的なものを順にご紹介します。
① マーレ川カヤックストックヤードから出発する
最も安定して楽しめるスタート地点であり、どんな天気でも比較的安定して出発できます。
マングローブカヌー約30分、ジャングルトレッキング約20〜30分で滝壺へ到着します。
このルートはバランスが良く、風の影響も少ないためカヌーも漕ぎやすいのが特徴です。
上原港が欠航していても、マングローブの林の中から出発できるため、問題なくツアーを開催できます。
さらに滝上を目指す1日コースにも対応しています。
当店では基本的に、すべてのコースをこのマーレ川から出発しています。
5歳からのお子様も参加可能です。
② カヌーなしで歩いてピナイサーラの滝上まで行く
カヌーを使わず、徒歩のみで滝上を目指すルートもあります。
滝上に登り、滝壺まで下り、再び滝上へ戻る行程となるため、体力に自信のある方向けです。
滝壺に行くにはカヌーで行くのが最も効率的ですが、このコースでは約1時間半〜2時間のジャングルトレッキングを楽しめます。
出発はジャングルの中からとなり、マングローブ林を近くで見られませんが、滝上からは壮大な景色を一望できます。
③ 海中道路から出発する
このルートは潮の満ち引きや風の影響によって難易度が大きく変わります。
上原港が欠航するほどの強風時は向かい風の中でのカヌーとなり、かなりの体力が必要です。
また、干潮時はカヌーを降りて引っ張りながら進むため、体力的にもハードなツアーになることがあります。
ただし、開けた場所から出発するため、目の前にピナイサーラの滝を望みながら進む景色は圧巻で、冒険感にあふれるコースです。
④ 干潟を歩いて滝壺へ向かう(上級者向け)
こちらはかなりマニアックなルートです。
海中道路からカヤックを使わず、干潮の時間を計算して干潟やマングローブの湿地帯を歩きながら滝壺へ向かうという方法です。
潮の満ち引きを考慮して行動時間を厳密に計算する必要があるため、相当な経験と判断力が求められます。
一般の方にはおすすめできませんが、環境を熟知したガイドと同行すれば、他では味わえない特別な探検体験になります。
いずれのルートも、個人では入域できません。必ず認定ツアーガイドと一緒に参加してください。
ピナイサーラの滝で体験できること
ヒナイ川をカヌーで進むマングローブ体験
* マングローブカヌー体験: 穏やかなヒナイ川をカヌーで漕ぎ出すと、両岸にマングローブ林が広がり、潮の満ち引きによって変化する景色を楽しめます。
* ジャングルトレッキング: カヌーを降りた後は森の中を歩いて滝壺や滝上へ。苔むした岩や根が張り巡らされた道を進む冒険感が魅力です。
* 滝壺での休憩・写真撮影: 滝のしぶきを浴びながら、ガイドが安全な場所を案内してくれるため、初心者でも安心して楽しめます。
ピナイサーラの滝への地形の特徴
ピナイサーラの滝へ向かうルートの中でも、最も一般的で安定しているのがマーレ川のカヌーストックヤードから出発するコースです。
このルートは風や波の影響を受けにくく、天候が荒れた日でも比較的出発しやすいのが特徴です。
ピナイサーラの滝に向かう川は、他地域の河川とは根本的に地形の性質が異なります。
本州の河川では、山地の傾斜によって高低差が生まれ、谷筋では崖のような河岸が形成されます。
そのため、増水時には一気に流速が上がり、激流となる危険があります。
一方で、ピナイサーラ周辺の川はマングローブの湿地帯をゆるやかに流れる低地河川です。
潮の満ち引きによって水位が上下するものの、川自体には急激な落差がなく、増水しても流れが横方向に広がる構造になっています。
このため、たとえ雨で水位が上昇しても、激しい流れに巻き込まれるような危険は極めて少ないのです。
ただし、それでも自然は常に変化します。
「一見穏やかに見える水面の裏に、潮位差や風の影響が潜んでいる」──その見極めこそが、安全なツアー運行の要です。
長年にわたり現場で川を観察してきたガイドは、水面の色・風の向き・潮の速さなど、微細な変化からその日の安全を判断します。
こうした経験と知識の積み重ねがあってこそ、ピナイサーラの滝を安心して楽しめるルート選択と時間帯の判断ができるのです。

注意点と事前準備
* 個人での入域は不可。必ず認定ガイドツアーを予約すること。
* 天候により滝上ルートは中止となる場合があります。
* 水辺でのアクティビティのため、防水バッグや替えの服を準備。
* 夏季は熱中症、冬季は低体温対策を忘れずに。
まとめ:ピナイサーラの滝は「守られた自然」へ
“未来へ残すために訪れる場所” ピナイサーラの滝
かつては自由に訪れることができたピナイサーラの滝も、世界遺産登録とともに「守る観光」へと変わりました。
これからは、認定ガイドと共に、自然に敬意を払いながら体験することが求められます。
年間200回以上現場に立つガイドだからこそ知る、西表島の四季の変化や安全対策、そして自然への向き合い方。
ピナイサーラの滝は、単なる観光地ではなく、“未来へ残すために訪れる場所”──それが、いまの姿です。
🔗 関連ツアー
▶ トレッキングなしのマングローブカヌーだけツアーはこちら
▶ ピナイサーラの滝壺半日コースはこちら
▶ ピナイサーラの滝壺と人気の水牛観光コースをセットにした1日コースはこちら
▶ 滝上まで登る1日コースの詳細はこちら






